この記事でわかること
- タイプ7の上司が「急に他人事になる」心理的メカニズム
- 彼らに「責任感」を求めても無駄な理由
- 振り回されずにうまく付き合う具体的な対処法
ある新規事業チームの「天国と地獄」
「これだよ! これこそ市場が待っていた革命だ!」
会議室で高らかに声を上げていたのは、私のボスであるA部長だ。彼の熱意とプレゼン能力は凄まじい。役員たちも最初は懐疑的だったが、最後には彼の描く未来図に魅了され、ついにGOサインが出た。
私はチームのサブリーダーとして、彼の大風呂敷を畳むための実現可能性調査や、リスク対策資料の作成に奔走した。「部長がここまで言うなら」と、私も自然と力が入った。
そして、承認から一週間後。いよいよ実行フェーズだ。私は詳細なスケジュール表を手に、意気揚々と部長の席へ向かった。
「部長、来月の開発体制について相談があります。リソース配分なんですが…」
しかし、部長は私の顔を見るなり、どこか上の空だ。
「あー、うん。その辺は君に任せるよ。好きにやっていいから」
え? 任せるって、予算の承認は?
呆気にとられる私の横で、部長は通りかかった若手社員を捕まえて目を輝かせた。
「それより聞いてくれよ! さっき思いついた新しい企画なんだけどさ、これ絶対面白いぞ!」
…嘘でしょ? 私たちが必死に守ろうとしているこのプロジェクトは、もう彼にとって「過去のもの」なの?
梯子を外された私の心に、深い絶望と怒りが湧き上がった。
なぜ彼らは急に「他人事」になるのか
部下の視点(タイプ1・6など)
「無責任だ」「釣った魚に餌をやらない」「やるやる詐欺」と感じる。承認はゴールではなく「スタートライン」のはずなのに、なぜ自分だけが走っているのか理解できない。
上司の視点(タイプ7の脳内)
実は彼らに悪気はない。ただ彼らにとっての「おいしい部分」が終わっただけなのだ。
タイプ7にとって、仕事のピークは「アイデアを出して、可能性にワクワクしている時(0→1)」。承認が降りた時点で、彼らの脳内では「実現できたも同然」という満足感を得てしまっている。
タイプ7の告白 —「真面目な空気」が息苦しい
彼らの本音
彼らは「楽しさ」を共有したいだけ。みんなで盛り上がっている時は、目の前が彩り豊かに見えている。
しかし、いざ「段取り」の話(誰が何をやるか、期限はどうするか)になると、途端に「不自由さ」を感じるセンサーが作動する。「魅せ場は終わった」と感じ、意識が心ここにあらずになってしまう。
悪気のない「安請け合い」
高揚感の中で「みんなでやればなんとかなる!」「俺がやるよ!」と言ってしまうが、それはその瞬間の本心だ。嘘ではない。
ただ、その後の「地味な作業」が自分のキャパシティを超えていることに、後になって気づく(そしてフェードアウトする)。
対策 —「責任感」を求めず「役割」を分ける
期待値の調整
彼らに「最後まで責任を持って並走してほしい」と期待するのは、魚に「陸を走れ」と言うようなもの。「アイデア出しと突破口を開く係」と割り切ろう。
具体的なアクション
「段取り」の話をしない
相談に行くと彼らは逃げる。相談ではなく「事後報告」で済むように、実務の権限を最初にもらってしまおう。
彼らの「ワクワク」を利用する
何か決裁が必要な時は、「事務的な相談」として持っていくのではなく、「このプロジェクト、こんなに面白い展開になってきましたよ!」とイベントのように演出して判子をもらう。
上司を「広告塔」にする
飽きっぽい彼らは、実務には向かないが、外部への宣伝や、新しい協力者を巻き込む力は天才的。チーム内ではあなたが実務を取り仕切り、上司には「外で自慢話をしてきてもらう」役割についてもらうのが最強の布陣だ。
「選択肢」を与えて誘導する
タイプ7は「自由を奪われること」を最も嫌う。だから「これをやってください」と一択で迫ると逃げられる。代わりに「AとB、どちらがいいですか?」と選択肢を提示しよう。彼らは「自分で選んだ」という感覚を得られるので、驚くほど素直に動いてくれる。
「飽きる前」にタスクを細切れにする
彼らの集中力は長くは続かない。大きなタスクを丸投げすると途中でフェードアウトする。最初から「今週はここまで」「来週はここから」と細切れにして渡し、短いスパンで「完了」の達成感を味わわせると継続しやすい。
結論 — タイプ7には「檻」ではなく「遊び場」を与えよ
タイプ7の上司を変えることはできない。だが、彼らの習性を理解すれば、こちらの思い通りに動かすことはできる。
ポイントは3つ。
- 責任感を期待しない(彼らの役割は「0→1」だけ)
- ワクワクを燃料にして動かす
- 選択肢を与えて「自分で決めた」と思わせる
彼らを縛ろうとすればするほど逃げられる。逆に「自由に動いていい範囲」をこちらが設計してやれば、その中で勝手に走り回ってくれる。檻に閉じ込めるのではなく、都合のいい遊び場を用意する。それがタイプ7を最も効果的に動かす方法だ。

Comment